心霊

怪談放浪記① 沈みゆく家

今回の事案は転職の相談から始まった。仮にA子さんとしよう。彼女はキャリアウーマンで女手ひとつで一家を支えて来た。
自分で小さな店を持ってやり繰りして生活をしてきた。

しかし、奮闘にもかかわらず全てが上手く行かない。ご両親も亡くし息子さん達も独立し大きな家に一人で住んでいる。
家も比較的新しく外から見た感じには、さして困っているようにも見えない。

転職の相談という事だったが、かなり切羽詰まっているようでA子さんを取り巻く問題は職業のみならずもっと深い問題がありそうだ。

職業の相談だったのでとりあえずA子さんの職業に焦点を当ててみたが彼女には適職に見えるし問題は仕事でなく家にありそうだ。

 

日を改め、ご自宅に伺う事になった。
しかし、ご自宅に近くなるに従って、目の前に大きく立つマンションや道沿いに流れる淀んだ川に道や線路があったが配置が悪い。
まさかこの辺だった場合、厄介だと思っているとそんな予感はまず当たる。

風水の地形的にも問題があり、霊の出やすい所は風水の地形上も良くない。

特に、前にそびえ立つマンションは自殺者がいるはず。A子さんに聞いてみると、やはり何件かそんな事案があったようだ。

いよいよ ご自宅の玄関前に…そこでまた驚愕する事になる。

さて、玄関を入るとまっすぐリビングにぶち当たり廊下を隔て左右に部屋があり目の前に二階にまっすぐ登る階段がある。

A子さん腰が痛くて夜もあまり眠れないでしょうと言うと、その通りとの返事が返ってきた。

そのまま仏間を兼ねた客間に案内される。
仏間は家のほぼ中央、階段の下位置、庭から血の石が見える。

仏壇はなんとか手入れされているが、隣に大きな神棚があったらしき押入れのようなものがある。

見てみると 昔はお稲荷さんやら御嶽教やらお大師さまやらがお祭りしてあったようだ。
ちょっと失礼して探してみると埃のかぶった段ボールの中に、壊れたお稲荷さまやボロボになったお札、壊れたお大師さまが入っていた。

以前は、お祭りしていたようだが御両親が亡くなられてからはそのままになってたようだ。

仏壇のお母様の写真の様子もおかしい。一体どれだけ重なっているんだろう。思わず溜息がでる。

どうやら不満があるようで、聞いてみるとお母様は結婚してから一度もご実家に帰してもらえなかった事を怨むと訴えている。
A子さんにお母様のことを尋ねると母方のご実家には一度も行った事もなく母方の実家も墓も分からないとの事。

これはまずい…まずい事が重なりすぎている。この家を手放さない方法を考えるつもりでこの家に伺ったが、今はもう一刻も早く全てを手放した方がA子さんの因縁も全て放棄することになる。

今まで起こった事は全くA子さんに責任は無い。というより全て無くなったお父様の残した因縁や恨みがこの家の没落へと引きずり込んでる。

彼女には一切の借金を背負わぬように、これは法的に行い心機一転やり直す事になった。

 

当初は、歳も歳だし路頭に迷うかとずいぶん心配されたがお母様や元あった神々の供養の成果か住むところも、仕事もあれよあれよと好条件で決まり、いまでは新たに新しい店舗も持てそうだと喜んで見えた。

あまりに多くの事が重なるとどうにもならないときもある。
だが死ななければなんとかなる。そして、神様や守護霊様を信じる事が大切だ。