今回は古いお家のお嬢様からちょっと変わったご依頼の話。
依頼主の方は大きなお屋敷に住まわれているのだが、ここ続けて身内の男性ばかりが頭の病気や事故に遭われるとの事。
大きなお屋敷ゆえ、何かしらが災いしてるのではないかとの事でさっそく伺う事にした。
伺ってみると、昔の日本家屋が大きな敷地にびっしりロの字型の変形で立ち並んでいる。
敷地内にお屋敷が4軒と茶室があり、さすがに圧倒される。
ただし、住んでおられるのはその内の1軒の半分だけを使って生活されていて、庭もその他の家もあまり手入れはされてない…と言うより手が回らない状態だった。
その家の状況はと言うと、曾祖父が縁側で頭を強打して死亡、祖父は脳溢血、その方のお父様が若年性アルツハイマー、叔父様が精神疾患、と依頼主の彼女が若年介護に入るような状態。
お父様に会ってみると、ごく普通の人当たりの良い方で、ただ話を伺うと時折記憶が無くなり自分の行動がわからなくなってしまうとの事。
これはちょっと違和感があるので、お医者様の所見を聞いて見るとアルツハイマーとは断定できないとの診断だった。
他に何か原因がありそうだ。
まずは、建物の中全てを見せていただく事にした。
見てみると、本屋に入る前に前室から見える中庭。それがまた屋敷の縁側の下にまで入り混んでいる。
これだけでも霊的にも風水上でも凶相。良いわけが無く、この部屋に住むものは必ず災いに会う状態だった。
そして、大きな本屋に入ってみると長年使われてないせいもあり寂れた感が半端ない。
台所には異常に大きな飯台があり、その飯台の上にも荷物が山盛りだった。
お屋敷に入る前に井戸のイメージがあったので聞いてみたが、お嬢様は知らないとの事だったがこの飯台を避けてみるとその下には木の板で覆われ重石の置いてある蓋があった。
見てみると、そこには古く使われなくなった井戸があった。これも良くない。
この土地のすぐそばに龍神様がおられるので、この井戸をお祀りした後にちゃんと工事処理をして安全に埋める。
井戸を収めるには塩と酒でまず清め、その後祭壇を組んで祝詞をあげると良いが、状況によってこれもやり方が異なる。
たまに自殺や事故のあった井戸、刀の捨てられた井戸、魔物を封じた井戸もあるから気をつける事。
井戸を封じる時に安いからと山土で埋める人もいるが、必ず川砂を使用すること。
井戸を清めていると黒い煙のようなもやが出ていた。これで浄化はやっと終わった。
本屋の中に入って、初めに目に入ったのは床の間。その場所が光っているが、床の間にはガラクタが積まれている。
なぜ光る…? ガラクタをさっそくどかしてみるとそこには観音様の像があった。これが光の原因だろう。
観音様を綺麗に磨いて、お祀りし非礼を詫びる。もちろん観音経をフルバージョンで読む。
この観音様も先代が祀っていたようだ。
先代のお祖母様が信心深かったのようで、お大師様の御姿の像や手入れのされてない立派な神棚があり、それにはバラバラの神様のお札が置かれている。
話によると、昔ここに勤めていた従業員が霊感があるらしくいろいろやったそうだが…まずいので片付ける。
それぞれの神様にご挨拶してお焚き上げをしていただく。
お大師様は綺麗にしてお祀りを行わせていただく。
あと、屋敷内のタンスや物置に故人の使われたものがそのまま処分されずに残されている。
大きな空き家のお屋敷に故人の遺物これでは浮遊霊まで呼びこむことになる。
遺品もお清めして全て処分。これでかなりスッキリした。
参考までに、遺品の処理はビニール袋に遺品を入れ多目の塩を振りそのまま処分で大丈夫。
人形などは線香で薫香した後に塩でも振って処分するか、神社でお炊き上げしてもらうといい。
庭で焼いても構わないが、ただし顔とか絶対残さぬように。
次の日、全て処理し終わるとなぜか家の庭にたぬきの親子が二匹がいて、こちらをじっと見つめて去っていったと依頼主が言う。
井戸や池を綺麗にしてあげると動物がお礼に来る時があるからどうやらそれらしい。
これで状況は良くなっていくはず。
ただし、敷地内の廃屋の建て位置は長男を害す相だからできれば1箇所でも取り壊した方が良いのだが、それはお金もかかる事なので無理には勧められない。
我々想天には建築に関するセクションもあるので安くは対応できるのだが…。
それから状況は格段に良くなったとのことだが、もう半年が経ちまた親父さんの状況がまた元に戻りつつあるようだ。
やはり霊障は様々な要因が絡み合う。良かれと思ってやった事や何の気なしにやった事、土地や先祖となかなか物語のように簡単には済まされない。
しかし、覚えておいて欲しい。
どんなに浄化しようが見えない人には見えない。
初めは確かに運も良くなり様々な変化もある。
それはそれでいいのだが、やはり正しい考え方と強くて前向きな心を持ち続ける事が大切である。
この正しい考え方と強くて前向きな心を保持する事ができるなら、もう私たちのような鑑定士は必要なくなる。
だから、前を向いて頑張って生きていこう。