人というのは親身になってアドバイスをしても、相手は思った通りに動いてくれないものです。
それゆえ、人を育てる立場にいる人は頭を抱える問題の1つとなるでしょう。
「言い方をもっときつくしないといけないのか」
「もっとほめてあげた方がいいのか」
人を育てる立場にいる人は相手にアドバイスをする時「言い方」や「伝え方」についても悩むことがあるはず。
では、どうすれば相手が自分の話を聞き入れて、行動を改善してくれるのか?
この記事では、人を育てる3つの方法をわかりやすく解説します。
人を育てる3つの方法!

人を育てる3つの方法を解説する前に注意しなければいけないことをお伝えします。
人を育てる上で注意しなければいけないことは、相手に対して「どのように伝えるべきか」ではなく、自分が相手のことを「どんな人だと思って伝えているか」ということです。
これから説明する「人を育てる方法」は、「相手は自分の思い通りに動いてくれる人だ」という前提で試してみてください。
今回は人を育てる3つの方法「理由もしくは目的を聞く」、「適切に褒めて適切に叱る」、「役割を与えて演じさせる」を紹介します。
「理由」もしくは「目的」を聞く

人の考えというのは、相手から理由を聞かれると強化され、目的を聞かれると柔軟になる傾向があります。
相手の行動を変えたくない場合は相手に「理由」を聞いて、相手の行動を変えたい場合は、その行動に対する「目的」を聞いてみて下さい。
相手に理由を聞いた場合
あなたが「今の仕事に満足していますか?」と相手に質問したとします。
すると、相手は「今の仕事に面白みを感じられていない」、「仕事をいくら工夫しても意味がない」という意見を答えたとします。
これらの意見に対して、「なぜそう思うのか?」という理由を聞いた場合、「自分が面白くないと思っているからだ」と自分の考えに固執するようになります。
なぜ、自分の考えの固執するようになるのか。
それは「なぜそう思うのか?」という理由を聞く問いかけに、過去に意識を向けさせる効果があるからです。
そして、人は過去を意識すればするほど、その過去を肯定して「自分は正しい」という確信を強めることになります。
相手に目的を聞いた場合
あなたが「今の仕事に満足していますか?」と相手に質問したとします。
すると、相手は「今の仕事に面白みを感じられていない」、「仕事をいくら工夫しても意味がない」という意見を答えたとします。
これらの意見に対して、「そう考えることで得られるメリットは?」という目的を聞いた場合、「仕事が面白くない」、「仕事を工夫をしても意味がない」と思ったところで、自分には何もメリットがない事に気づきます。
そして「どうすれば仕事が面白くできるだろうか?」という考えに変化していきます。
なぜ、考えが変化するようになるのか。
それは、人はメリットを意識することで、自分の行動を再認識する作用が働くからです。
誰だって、自分のメリットにならないことを進んでやる人はいないですし、どうせやるなら自分にとってメリットがあることを優先すると思います。
適切に褒めて適切に叱る

人を褒める時と叱る時には、ポイントがあります。
そのポイントとは相手の意識をどこに向けさせるかです。
私たちの意識には階層があり、それぞれ与える影響の大きさが違います。
・影響が非常に強い = 存在(自分自身、人格)
・影響が強い = 価値観(自分の考え)
・影響がやや強い = 能力(できること)
・影響が弱い = 行動(やったこと)
・影響が非常に弱い = 環境(運、場所、道具)
褒める時はその人の「存在」をほめて、叱る時はその人の「行動」や「環境」を叱る。
人を褒める場合
人を褒める場合は、「いいことをしたね」、「ラッキーだったね」などの「行動」や「運」に結び付けて褒めるよりも、「やっぱりあなたはさすがだね」、「強運の持ち主だね」と「存在」に結び付けて褒めた方が、意識の深いところに影響を与えます。
人を叱る場合
反対に人を叱る場合は、「なにやってるんだ」、「そんなこともできないのか」と「存在」に結び付けて叱るよりも、「今回のやり方はまずかった。次はこうしよう」、「タイミングが悪かった。別の機会に試してみようか」などと「行動」や「環境」に結び付けて叱った方が、行動をスムーズに修正してもらいやすくなります。
役割を与えて演じさせる

役割というのは人を変える力があります。
例えば、「A君はこの中で最も正義感が強い人です」、「Bさんはこの中で最も優しい人です」と言葉にするだけで、言われた人はその言葉通りの行動をとるようになります。
なぜ言葉通りの行動をとるようになるのか。
それは、人はそれぞれの環境で生き残るために、自分の役割を演じて生きてきた歴史があるからです。
そして私たちは、親の前の自分、恋人の前の自分、友人の前の自分、仕事の時の自分など、それぞれの場面に対して役割を使い分けて生活しています。
もし、人を変えたいのであれば「どんな存在であってほしいのか?」を伝えてみて下さい。
そうすることで、言われた相手は自分の役割を見つけて、それに向かって行動していきます。
人を育てる方法は聞く!褒める叱る!演じさせる!

以上、人を育てる3つの方法について紹介しました。
人を育てる上で、相手の行動を改善させることは、とても労力がいることです。
とても労力がいることですが、育てた人が立派に成長する姿は何物にも代えがたいものです。
最後に、もう一度この記事のまとめを。
人を育てる時は、「相手は自分の思い通りに動いてくれる人だ」という前提で、「理由」もしくは「目的」を聞き、適切に褒めて適切に叱り、役割を与えて演じさせる。
そうすることで、相手の行動を改善させる近道になります。
ぜひ試してみてください。