考え方

ゼノンに学ぶ!禁欲による苦痛は気持ちを向上させる!

「最近つまらないなー」
「何をやっても面白くない!」
「生きがいがない…」

生活していると、どうしてもやる気が出ないことはありませんか?
そんなあなたに必要なのは、「禁欲主義」です。

「やる気がでないのに、禁欲なんかしたら余計だめじゃないの?」と思うかもしれません。
例えば、スポーツは基本、苦痛の連続です。
ボールを投げたり、蹴ったり、体を捻じ曲げたり、長い距離を走ったりします。
スポーツの最中に、「これは楽で仕方ない!」なんて思うことはありません。

つまり、スポーツは苦痛そのもの。
なのに、なぜ人はスポーツをするのでしょう?
なぜ、フィットネスクラブにお金を払ってまで苦しい思いをするのでしょうか?

実はそこに、つまらない毎日から抜け出すヒントが隠されています。
特に不自由がないのに、気分が上がらない人に不足しているのは、「楽しみ」ではありません。

それは「苦痛の喜び」が不足しているのです!

なので、今回は禁欲主義を提唱するゼノンの考えを参考にしながら、苦痛の必要性について紹介します。

 

ゼノンの哲学

哲学者ゼノンの紹介

ゼノンとは、ギリシアの哲学者です。
ゼノンは、プラトンの作った学校のアカデメイアで、いろいろな哲学を学びました。

アカデメイアで哲学を勉強したゼノンは「最も善い生を送るには、何をしたらいいでしょう?」と神様に伺いました。
すると、「死者と交われ」という答えが返ってきました。
このことをゼノンは「昔の書物を研究すること」と解釈し、アカデメイアでの勉強に励みました。

ゼノンは、ヘパイトストス神殿という近くの柱廊で集まった人々に学んだ哲学について話しました。
この柱廊(ストア)にちなんで、ゼノンの元に集まる人々を「ストア派」と呼びました。
このストア派は、「ストイック」の語源になったと言われています。

 

無感動(アパテイア)とは?

ゼノンの哲学は、大変忍耐強い心構えをつくるものです。
ゼノン本人も、質素な生活をして、火を必要としない食物をとり、うすい衣服をまとっていました。

なぜ、ゼノンに始まるストア派は、そんなに禁欲をすすめたのか?
それは、禁欲をすることは「理性的に生きること」であり、我慢は理性があって初めてできることだからです。

そして、理性の対極にあるのが感情です。
人は感情に動かされて、流されてしまうものです。
だから、感情に流されないようにするために、「無感動(アパテイア)」こそが目指すべき境地だと主張しました。

無感動ということは、「なにが起きても動じない心」ということです。
ストア派の哲学では、何か出来事が起きても、それ自体は良くも悪くもありません。

「良くないと思われる出来事」に心を動かされてしまうことが、本当の不幸ということ。
なぜなら、それは感情に流されて判断してしまっているからです。
理性的に判断せずに、感情的になって落ち込むから不幸なのです。

このように、ゼノンは幸せになるには、「禁欲で心を鍛えて、動じない心を身につけよ」と提唱しました。

 

ゼノンに学ぶ!

今回はゼノンの哲学と禁欲ついて紹介しました。

人間の第一衝動は、「自己保存」に向かいます。
「おいしいラーメンが食べたい!」、「眠いから二度寝したい!」などいろいろあります。

しかし、ストア派の哲学によると、「快楽とは、自分の感情を満たすことから得られるもの」にすぎません。
思慮、節制、正義、勇敢などの「徳(善いこと)」のある生き方をする。
「いやなこと」があったとしても、「それって、どーでもいいんじゃない」と思えるようになればいい。

反対に、無思慮、不摂生、不正、臆病などの「徳のない生き方」を戒めます。
要は、快楽に溺れずに、自分を律して、禁欲をしていこうということです。

ですが、実際に禁欲を行うことは、なかなか難しいと思います。
ところが、人は我慢に我慢を重ねることで、脳内麻薬物質(エンドルフィンなど)が出てきて多幸感を得られるという脳科学者の見解もあります。

ランナーズハイにように、人の脳は苦しみを超えると、自動的に脳を麻痺させて快感を得ようとします。
逆に、何もかも満たされている状態だと、脳が「報酬を受け取った」と判断して、やる気がなくなるということもあります。

なので、無気力感、気分の落ち込みに囚われたら、ストア派の禁欲主義を実践してみましょう!
そうすれば、禁欲生活によってエンドルフェンが出てきて、「ストイックに生きるのも案外悪くないじゃん!」と思えるかもしれません。